愛知県豊田市 | 医療法人Well-being だいせい歯科医院

コラム

抜歯について


Dental equipment holding an extracted tooth

こんにちは。豊田市にあります、だいせい歯科医院です。

患者様にとって本当は受けたくない一番嫌な治療は『抜歯』ではないでしょうか。

今回は学術的なこととそうでないことから『抜歯』について説明していきたいと思います。

私たち歯科医師も抜歯はできればしたくありません。

なぜ抜歯が必要なの?

できればしたくない抜歯ですが、残っているほかの歯を守るためだったり、顎の骨を守るため、命を守るためなど、抜歯が必要になることがあります。いくつか代表的な例を挙げてみたいと思います。

歯周病でぐらぐら歯

歯を支える骨が溶けてなくなり噛めば噛むほど周りの骨を痛めます。歯周病は細菌により引き起こされる感染症なので、保存が見込めない罹患歯はなるべく早く抜歯をしたほうが良いケースが多いです。ただし歯周病でぐらぐらな歯ほど出血が多くななか止まらないことがあります。

虫歯で根っこしかない歯

虫歯も歯周病と同じで細菌による感染症です。かけている断面が尖っていたりギザギザになって,舌や頬粘膜を傷つけてしまいます。また根尖に膿がたまり急に激痛が出ることがあるので抜歯が必要になります。

歯冠歯根比が歯冠:歯根=1:1以下になるつまり頭でっかちの歯は抜歯のリスクが上がります。

(通常歯冠歯根比は歯冠:歯根=1:1,5あれば支台歯として使うことができます。)

神経のない歯が割れてしまった場合

神経のない歯(失活歯といいます)は神経のある歯よりももろく割れてしまう事があります。失活歯はメタルコアという土台が合着されている場合は特に割れやすいです。

硬いものを咬んでいなくても折れてしまいます。また割れてしまうかわかりません。残念ながら割れてしまった歯は抜歯になるケースが多いです。

親知らず(第3大臼歯)

親知らずは18歳~24歳ごろが萌出時期といわれています。つまり親知らずはすべての永久歯が生えそろってもうスペースが残っていない一番奥にある歯です。下の親知らずは横向きに頭を少しだけ出していることがよくあります。また上の親知らずは歯ブラシが届かないかなり奥まったところに出てきます。どちらも前の歯を虫歯にしてしまったり、前の歯を押すことで全体の歯並びを悪くしたりします。上の親知らずが頬粘膜を傷つけ大きな口内炎のような潰瘍を形成しなかなか治らないこともしばしば起こします。親知らずが原因で顎関節症を引き起こすことがあるのですべてではありませんが抜歯が必要になることがあります。

のどが痛いので内科や耳鼻咽喉科に行っても原因がわからず、歯科医院ではじめてその、のどの痛みの原因が判明したということはしばしは起こります。

乳歯の晩期残存

乳歯がなかなか抜けず次に控えている永久歯の萌出を邪魔している場合はぐらぐらなっていなくても後継永久歯のために虫歯になっていなくても抜歯が必要です。

過剰歯

人間の歯は乳歯は20本、永久歯は28本~32本(親知らずを含む)が通常の本数です。これよりも多い歯を過剰歯といます。例えば、永久歯が生えていてもよい年齢なのに後継永久歯が出てこないのでお母さんが心配になり歯科医院に行ってレントゲンを撮って初めて確認されることがあります。永久歯の邪魔をしている場合は抜歯が必要です。

注意しなくてはいけない抜歯

抜歯はむしば治療と同じように毎日行われている治療の1つです。しかし抜歯は外科的な処置、つまり手術です。

お薬にアレルギーがある

歯科治療を受けた時に使用された麻酔でアレルギーが出たことがある、消毒のアルコールにアレルギーがある、抗生物質や痛み止めにアレルギーがあるなどがある場合は事前に歯科医師に伝えておく必要があります。そのためには問診票をしっかり記入して、もし心配なことがあれば直接歯科医師に伝えてください。他の医療機関で処方されたお薬でアレルギーが出たことがある場合も知らせる必要があります。

基礎疾患がある

喘息、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞に代表される基礎疾患がある場合の抜歯は術前に基礎疾患を診てもらっている主治医の対診が必要です。主治医に抜歯の必要性、抜歯の手技、術後(または術前)薬の処方についてや医科的に抜歯に可否について対診する必要があります。

また肝機能障害や、腎機能障害(人工透析)などがある場合も同様に主治医の対診が必要です。

抜歯部位がなかなか治らないや、出血がなかなか止まらないなど術後に起こることがあるので、抜歯前の準備はとても大切です。

妊娠している授乳中

妊娠は病気ではありませんので安定期であれば抜歯は可能です。逆に痛いのをずっと我慢したり感染が大きくなって腫れてきたりすることの方が妊娠に与える影響は大きいと思います。

授乳中のお母さんの抜歯も可能です。

しかしどちらも術後のお薬には注意が必要です。

号泣して体動が激しい

こどもの場合は注射や不安から泣き出す子も普通にいます。それ自体は問題はありません。

抜歯の時に暴れて抜歯した歯を飲み込んでしまって気管支詰まってしまったり、顔を傷つけてしまうなど思わぬ大事故につながることが残念ながら実際にニュース等で報道されたことがあります。

どうしてもできない場合は日を改めて行うこともあります。

成人の方でも歯科恐怖症の方はいらっしゃいます。焦らず不安がある場合は事前に相談してください。どうしてもできなければ日を改めて行いましょう。

抜歯を理解していない

ごくまれに「歯医者に行ったら勝手に歯を抜かれた」という事がインターネットに書かれています。

まず歯科医師が患者様に説明せずに勝手に了解を得ず抜歯することはありえません。

日本全国の歯科医師はどんなに忙しくても必ず説明しています。しかしながら残念ながら患者様にしっかり抜歯の必要性が伝わっていないことがあります。患者様が納得していないようであれば抜歯は行うべきではないと考えます。これは抜歯だけではなくすべての治療に当てはまります。歯科医師は患者様が納得いくまで説明をするべきですし、患者様は納得がいくまで歯科医師と相談すべきだと思います。不安が払しょくできなければ他医院でセカンドオピニオンを受けてみるのも良いと思います。

痛みがある、腫れているときの抜歯

痛みや腫れがある状態は炎症を起こしている状態で麻酔が効きにくいです。麻酔が効きにくい状態の抜歯は術中の痛みがなかなか抑えられないので大変です。また術後の治りが遅くなることが多く、全身への影響もあります。痛みや腫れがある場合はまずはそれらをコントロールするためにお薬を服用し、炎症が引いた状態で行います。痛いから、腫れているからすぐに抜歯するというのは全身の状態も悪くしてしまいます。かえって痛みや腫れを増悪させてしまいます。

抜歯後に注意すること

抜歯して痛みや腫れのビークは3~4日といわれています。1週間ほどは以下のことを控えた方が良いと思います。

飲食

飲食は麻酔の効果がなくなるまで(しびれがなくなるまで)はしないようにしましょう。麻酔の効果は長いと2時間ほどしびれていることがあります。(熱いものは火傷をしても麻酔が効いているうちはわからない)飲み物は冷たいものであれば飲んでも大丈夫ですが、」麻酔が効いているうちは蒸せたりすることがあるため、少しずつ飲むようにしましょう。

タバコやお酒

タバコは傷口の治りを悪くします。

お酒は全身の血流がよくなるため、出血や痛みが増すことがあります。

抜歯後1週間程度は控えるのが良いでしょう。

運動

血流がよくなり痛みや腫れが増すことがあります。 1週間ぐらいは控えるか軽めの運動にと止めましょう。

入浴

抜歯当日は入浴は避け、シャワー程度に済ませてもらうのがよいでしょう。運動と同様に血流がよくなり痛みや腫れが増すことがあります。

歯磨き

創部は歯ブラシを当てないようにしましょう。またうがいは強く何度もしないようにしましょう。

創部にできた血餅(かさぶた)が流れてしまい再度出血したり、逆に出血がなく創部を保護する血餅がなくなってしまいます。

その他

患部を冷やし過ぎないようにしましょう。冷やし過ぎると血流が悪くなり腫れが引くのが遅くなります。抜歯当日に水道水で濡らしたタオルを軽く充てる程度にしましょう。

痛み止めは痛くなければ服用しなくてもいいですが、化膿止(抗生物質)はしっかり服用しましょう。

まとめ

今回は抜歯を取り上げました。まずなぜ抜歯が必要なのかをよく説明を受けましょう。な、基礎疾患や、アレルギーなど事前にしっかり伝えておきましょう。

不安や心配がある場合、体調が悪いときは無理に行わず、歯科医師に相談しましょう。