愛知県豊田市 | 医療法人Well-being だいせい歯科医院

コラム

インプラント治療について


こんにちは。豊田市にあります、だいせい歯科医院です。
今回もご質問をよく頂きます、『インプラント治療』についてご説明させていただきます。

①インプラント治療って何?

多くの歯科医院でも現在では行われている『インプラント治療』。雑誌やテレビ、ラジオCMで見聞きされる方も多いのではないでしょか?かかりつけの先生からもインプラントについて説明を受けたことがある方もいらっしゃると思います。実際にインプラント治療を受けられている方もいらっしゃるでしょう。そもそも『インプラント治療』とは何でしょうか?
インプラント治療(インプラントと略される場合が多いです)とは簡単に言えば、歯がなくなってしまった部分に人工歯根(チタンでできたねじ=フィクスチャー)を埋めてその上に土台(アバットメント)をねじで固定し人工歯(上部構造体)つける治療法です。

アバットメントと上部構造を一体化してフィクスチャーにねじで固定する”スクリューリテンション”とアバットメントをフィクスチャーとねじで固定して、上部構造を接着剤で接着する”セメントリテンション”の二つの方法があります。
1952年にスウェーデンのブローネマルク先生(イエテボリ大学医学部の解剖学教授)によってチタンが骨に結合することを研究中に偶然発見されたことが始まりです。その後1965年にブローネマルク先生によって世界で初めて患者さんにスクリュータイプのインプラント(人工歯根)が治療に使用されました。その患者さんは75歳で亡くなるまで実に41年間インプラントを無事に使っていたといいます。
日本では1983年にブローネマルク先生が来日され自ら執刀されたことが最初のインプラント治療でした。
インプラントの素材であるチタンは顎の骨と結合して長期にわたり安定することが証明されています。またチタンはイオン化にも強く金属イオンが溶け出さないために、口腔内に用いても安全な金属であり金属アレルギーもほとんど起こすことがありません。チタンインプラントは歯科医療だけではなく整形外科の分野では人工股関節にも使用されています。(歯科のインプラントとは比較にならないほど大きいですが)日常では日焼け止めや、ピアスの材料にもなっています。
インプラントと骨が結合することを【オッセオインテグレーション:oseeointegration】といいます。骨を表すラテン語のオス【os】と結合を表す英語のインテグレーション【integration】が組み合わされてオッセオインテグレーションと呼ばれています。

②インプラント治療の流れ

インプラント治療は綿密な治療計画や準備に基づいて行われる治療です。ここでは基本的な流れについてご説明します。
インプラント治療にかかわらず治療には最初にカウンセリングを受けてもらうことから始まります。患者さんがどんなことで困っているのか、どうなりたいのかを聞き取り治療費用や治療期間などを含めてどんな治療法があるのかを相談します。インプラント治療は手術が必要になる為、全身疾患の有無や服用中のお薬など医科との連携も必要になります。そのためきちんと報告をするようにしましょう。その後レントゲン、CT、口腔内写真撮影、模型などを取り全顎的な精密検査を行い、診査診断を行います。カウンセリングと精密検査を行いインプラント治療が適さない場合は別の方法(入れ歯やブリッジ)の説明があります。インプラントが可能な場合は治療計画の最終確認を行い治療についての同意書を交わし、治療がスタートします。

インプラントは汚れに強くないので前処置としてクリーニングを徹底し口腔内の環境を整えます。口腔内の環境がある程度整ったらインプラントを埋め込む手術を行います。現在ではより安全に手術を行うように事前にシミュレーションを行い、フィクスチャーを埋入する深さ、角度がずれないようにサージカルガイド(手術用のマウスピース型テンプレート)をはめて手術をします(ガイデットサージェリー)。

インプラントと骨が結合するまで約3~6か月待ちます。この間にも口腔内の汚れ、歯石がたまらないようにクリーニングを徹底します。インプラントと骨が結合後に人工歯(徐上部構造体)を作製し一連の治療が終わりになります。

③インプラント治療のメリットとデメリット

②で治療の基本的な流れをご説明しました。それではインプラント治療のメリットとデメリットについて考えていきましょう。

まず、デメリットですが多くの患者さんから、聞かれるのが「費用が高い」という事です。実際に売ったり買ったりはできませんが、一本の歯に値段をつけるとすると、事故などで歯を失った場合、賠償される金額が大体130万円といわれていますので、そう考えると一本の歯がどれほど貴重なものかご理解いただけると思います。その貴重な歯の代わりになるインプラントは材料費、技工士の先生に支払う技工料、設備費、人件費など高額になるのもご理解いただけるのではないでしょうか。その次によくお聞きするのが「怖い、痛そう」というご意見です。確かに手術を必要としますので全く痛くないことはないと思います。抜歯をした時のつらい経験からそう思うのかもしれませんが、術後にお話を伺うと「思ったほど痛くなかった」といわれる患者さんがほとんどです。(当医院の場合ですが)インプラントは傷口が抜歯の時のように開いている状態(開放創といいます)にならないので、痛みが少ないのでしょう。また手術の時間や埋め込むインプラントの本数、インプラントに付随する手術(サイナスリフト、GBRといわれる骨造成手術など)がある場合は痛みや腫れがでることがありますが、痛み止めを服用することで軽減します。インプラント治療を受ける前のカウンセリングの段階でしっかりと説明を受けておけば安心して治療を受けられます。

次にインプラント治療のメリットについてです。一番のメリットは自分の歯と同じような機能性を有していることです。入れ歯の場合咬む力は天然歯の3分の1程度まで減少してしまうのに対してインプラントは天然歯とほぼ同等の咬合力にまで回復します。また見た目(審美性)にも優れています。
個人的には他の歯を削らない、負担をかけないというのが最も大きなメリットだと考えます。抜けてしまったところを補うためにブリッジの場合は両隣の歯を削ってかぶせ物をつなげて歯を作るのですが、虫歯でもなんでもない歯でもブリッジにするために大きく削らないといけないので両隣の歯にはかなりの負担をかけてしまいます。冷たいもの熱いものがしみる場合は神経まで取らなくてはいけなくなります。神経のない歯は神経のある歯よりも折れたりするリスクが増えてしまいます。インプラントは両隣の歯は削りませんので歯にも体にも優しい治療といえると思います。

④インプラント治療の終わりはゴールではありません

手術が終わり、仮歯の期間を経て晴れて最終上部構造(人工歯)がセットされて一連の治療は終了しました。でもゴールではないんです。インプラントは汚れに弱く、日ごろのケアがインプラントの寿命を大きく左右します。もちろんインプラントの部分だけでなく残存歯のケアも大切です。どうしても歯石や磨き残しができてしまいます。そうした部分を歯科医院で定期的にチェックしクリーニングを行う必要があります。セルフケアとプロケアの両輪で残存歯とインプラントを守りましょう。
インプラントには天然歯と違い咬んだ時の刺激を伝えるセンサーの役割をする歯根膜がありません。そのためかみ合わせの高さの変化や揺れなどが起こることがあります。かみ合わせのチェックや骨の中のインプラントの状態も定期的にチェックを行いましょう。

⑤まとめ

インプラントはチタン製の人工歯根(フィクスチャー)と土台(アバットメント)、上部構造から構成されます。
術前の精密検査、シミュレーションを行い手術にはサージカルガイドを使いって安全な手術が行われます。
セルフケアとプロケアの両輪でインプラントだけでなく残存歯も守りましょう。
定期的なメインテナンスを受けインプラントと残存歯の寿命を延ばしましょう。