かみ合わせが悪くなるとどうなるの?
こんにちは。豊田市にあります、だいせい歯科医院です。
今回もご質問をよく頂きます、『かみ合わせ』ついてご説明させていただきます。
目次
❶かみ合わせが悪い?
当医院ではお電話で『かみ合わせが悪いので診てほしい』というお問い合わせをよくいただきます。最近そのお問い合わせがとても多くなってきたと感じます。
歯がかみ合っていない(開咬)

開咬矯正前

開咬矯正後
患者様 | 40代女性 |
主訴 | 前歯で咬めない |
治療内容 | 歯列矯正(マウスピース矯正) |
治療期間 | 14カ月 |
治療回数 | 18回 |
費用 | 93,500円(税込) |
リスク、副作用 | 矯正治療中歯の痛みが出現することがある 矯正後後戻りをすることがある |
後かみ合わせが深すぎる(過蓋咬合)

過蓋咬合矯正前

過蓋咬合矯正後
患者様 | 40代 男性 |
主訴 | かみ合わせを治したい |
治療内容 | 歯列矯正(マウスピース矯正) |
治療期間 | 12カ月 |
治療回数 | 16回 |
費用 | 93,500円(税込) |
リスク、副作用 | 矯正治療中歯の痛みが出現することがある 矯正後後戻りをすることがある |
歯がガタガタしている(叢生)

叢生矯正前

叢生矯正後
患者様 | 20代 女性 |
主訴 | ガタガタの歯をきれいにしたい |
治療内容 | 歯列矯正(マウスピース矯正) |
治療期間 | 12カ月 |
治療回数 | 14回 |
費用 | 93,500円(税込) |
リスク、副作用 | 矯正治療中歯の痛みが出現することがある 矯正後後戻りをすることがある |
もともとの歯並びが原因(上記3件など)と歯が抜けたままになって歯が傾いてきてうまく噛めなくなった、歯がグラグラでどこで咬んでいいかわからないなど治療されていないために起こる不調と、歯科医院で治療したことで不幸にも起こってしまう不調。例えば銀歯を入れてからかみ合わせがおかしいや、入れ歯が痛くて噛めないなど、一言で、かみ合わせが悪いといってもその原因はたくさんあります。
また、かみ合わせが原因で全身の不調和を訴えられたり、うつや統合失調症を発症してしまうこともあります。こうなってしまうと完治することは難しく、歯科だけでは対応ができません。精神科と連携していかなくてはなりません。
❷かみ合わせが悪いとどうなるの?
かみ合わせが悪いと、片側かみになり顔が左右非対称になったり(あまり咬まないほうの表情筋はたるむため)顎関節痛を引き起こしたりします。全身的には姿勢が悪くなり肩こりや片頭痛、めまい、情緒不安定(イライラする)集中力が低下する。疲れやすく元気がない。などいろんな症状や病気を引き起こします。当然、うまく噛めないために食事が楽しくありません。
よく咬めないことは高齢者の方々には特にアルツハイマー型認知症のリスクが上がるといわれています。アルツハイマー型認知症はアミロイドベータという物質が脳内にたまることで進行するといわれています。アミロイドベータは『脳内にたまるゴミ』といわれています。よく咬むことで歯の根をおおっている歯根膜を介して脳内の血流が改善され脳内のごみであるアミロイドベータを押し流してくれます。また広島大学の研究チームが良く噛むことでアミロイドベータが少なくなることを発見しました。
現在では多くの医科の先生方(糖尿病や、認知症を専門とされているドクター)にもご協力をいただき、歯周病や咬合不全についてもご理解いただけるようになってきました。 また認知症が発症するまでには25年ほどかかるそうです。働き盛りの30~50代の方は今からしっかり咬めるようにしておくのが良いでしょう。
❸かみ合わせの治療はどんなことをするの?
歯並びが原因の場合は主に矯正治療が必要になることが多いです。例を挙げますと、前述した開咬は前歯がかみ合っていない状態ですので前歯が機能せず、本来前歯で行うべき仕事(かみ切る;ハサミの役割)なども奥歯でしなくてはならず奥歯の摩耗を助長します。
まずは開咬の治療が必要になります。次に過蓋咬合の場合はかみ合わせが深く下の前歯が上の前歯を強く押し上げるため、前歯に隙間(正中離開)を起こしたり、摩耗により著しく歯が短くなってしまったり、歯が折れてしまうこともあります。かみ合わせを挙げる(咬合挙上)などを行う必要があります。ガタガタの歯列(叢生)は歯磨きもしずらく、虫歯や歯周病のリスクも高くなります。叢生がひどい場合は抜歯などをして歯列を整える必要もあります。叢生の歯列は対合歯にかかる力が強いため歯の移動や動揺などによりかみ合わせが変わってしまうこともあります。
いずれの場合も矯正治療を行う必要があると考えられます。矯正をせずに例えばかぶせ物をするなどの治療はかえって元の状態より悪くしてしまうことがあります。矯正治療は模型や顔貌及び口腔内写真、レントゲンやCTなどの基礎資料を分析してから行います。
かぶせ物をした後にかみ合わせがおかしい場合はかぶせた直後はかみ合わせに違和感が出ることはしばしばあります。2~3日ほどで違和感が消失する場合は問題がないことが多いです。しかし咬んで痛みが出る(咬合痛)がずっと続く場合は咬合調整をする必要があります。長い間ずっとかみ合わせに悩まされている場合、口腔内のほとんどの歯にかぶせ物をされている方の場合は矯正治療の時と同様に模型や顔貌および口腔内写真、レントゲンやCTを取り正確に診査する必要があります。ここで登場するのが『フェイスボウと咬合器』です。

フェイスボウ:頭の骨と顎関節と上顎の位置関係を調べる装置

シリコンバイト:最低でも6個のかみ合わせを取ります。

咬合器:かみ合わせを再現する機械でフェイスボウとセットで使います
(1)(フェイスボウは耳の穴イヤーボウというフレームをあてがいます。この位置がちょうど顎関節の位置になります。前方の基準点を目の下と鼻の下にとりイヤーボウとバイトフォークを締結します。これで頭蓋(関節結節)に対する上顎歯列の位置を再現できあとは複数個取ったシリコンのかみ合わせの記録を上下の模型に咬ませて、咬合器に取り付けていきます。これで正確に現在のかみ合わせが再現できます。(手で持っただけの模型では顎の傾きや正確なかみ合わせは再現できません。)技工士の先生と意見交換をして治療計画を立てていきます。
マウスピースを作製したり、咬合を挙上する必要がある場合は歯の頭(咬合面)に直接プラスチックのプレートを接着して、顎やかみ合わせが安定するところを探していきます。かみ合わせが安定したらかぶせ物をやり替える治療に入るのですが、仮の歯を何度か作り直し、さらにかみ合わせをつめていきます。(コラムの『仮歯について』をご参照ください)
入れ歯の場合は入れ歯を装着した状態で模型を作ります。入れ歯用の咬合器に採得した模型をセットして、口腔外で調整します。(入れ歯をお預かりする場合があります)ほとんどの場合入れ歯を作り直し必要があります。



(長い間歯科治療せず放置した結果、咬合が崩壊してしまっている。残存歯が歯茎に咬みこんでしまっている危険な状態)
この傷がいつまでも治らない状態になると潰瘍となり最悪の場合癌化します。(歯肉癌)
かみ合わせが悪い状態が長く、不調が長期に及ぶ場合はなかなか治することが難しいことがあります。それは顎の関節を取り巻く筋肉がうまく動かなくなってしまっている場合や、顎の関節の骨がすり減って変形してしまっている場合は、残念ながら治らない場合もあります。
かみ合わせの治療は画一的なものがありません。(これをすれば治るというものがありません)したがって治療期間がとても長くなることがあります。治療中に一時的に悪化することもあります。途中で治療をやめてしまうことは悪くなることはあっても決して良くなることはありません。また噛み合わせの治療自体が保険診療に含まれていませんので治療費も高額になります。(咬合再構成) 治療をする前にしっかりと現在の状況とどんな治療が必要であるかを担当の先生に説明をしてもらいましょう。わからないことがあれば何度も質問してみましょう。
❹治療の終わりはゴールではありません。
❸でかみ合わせの治療には画一的なものがありませんとお伝えしました。治療が終了してからの方がむしろ大切です。かみ合わせがしっかりなじんでいるか、咬合再構成してから顎関節に異常をきたしていないか、再発していないか、ナイトガードの装着はできているか、歯周病や虫歯が進行していないか、入れ歯の場合は人工歯のすり減りがおきていないか、かみ合わせに変化が起きていないか、入れ歯が壊れていないか、矯正後であれば後戻りしていないかなどを定期的にチェックする必要があります。今度はにしっかり定期検査を受けて悪くなる前に対処していきましょう。
❺まとめ
今回はかみ合わせの治療についてご説明しました。かみ合わせが悪い原因を探し出し適切に治療を受けていただくためにはまずかみ合わせの診査が必要です。模型を取り、顔貌及び口腔内写真を撮り、レントゲンやCTを撮影し、できるだけ多くの資料を集めます。フェイスボウと咬合器を使用して問題点を抽出します。そこから治療がスタートします。
残念ながらかみ合わせの悪い状態が長い(悪い状態が長い)場合は治らない場合があります。
奥歯を失ったままにして放置しておくと、必ずと言っていいほど次に悪くなるのか上の前歯です。
またかみ合わせのの治療は画一的なものがないため治療期間も2年3年と長期にかかることがあります。
かみ合わせの治療は『咬合再構成』といわれ自費診療(保険診療の範囲ではないため)となり高額な治療費がかかります。 治療が終了してからの定期的なメインテナンスとチェックがとても大切です。


術前


術後:不適合な連結された冠を外し土台をやり直し、歯ぐきの治癒後、セラミックス冠を装着:新しい歯は連結せず単冠で補綴
患者様 | 60代 女性 |
主訴 | 前歯が長い きれいに治したい |
治療内容 | 精密根管治療 歯冠長延長 診断用WAX-UP プロビショナルレストレーション ジルコニアクラウン |
治療期間 | 12カ月 |
治療回数 | 26回 |
費用 | 1,408,000円(税込) |
リスク、副作用 | 歯冠長延長術は歯肉及び歯槽骨を切除するため、出血と痛みを伴うことがある 歯根破折を起こし歯を保存ができなくなることがある |